あおの炊事場

30代女ゆるゆるブログ

目の前に広がる綺麗な風景

【リーチ先生】

原田マハ

 

1954年、

大分の小鹿田を訪れたイギリス人陶芸家バーナード・リーチと出会った高市(こういち)は、

亡父・亀之介がかつて彼に師事していたと知る。

 

時は遡り1909年、

芸術に憧れる亀之介は、

日本の美を学ぼうと来日した青年リーチの助手になる。

 

柳宗悦濱田庄司ら若き芸術家と熱い友情を交わし、

才能を開花させるリーチ。

 

東洋と西洋の架け橋となったその生涯を、

陶工父子の視点から描く感動のアート小説。

 

日々の楽しみであった、リーチ先生を読み終わってしまった………🙀

史実に基づいたフィクション。

 

すごくすごく芸術的で人間味のある温かい小説だった。

陶芸について知識は無かったが、

私も陶芸家を志したいと錯覚するほどのめり込んだ。

むしろ、ひとつのことに熱中する登場人物達を羨ましく思った。

 

マハさんの文章は、生き生きとした登場人物の目の輝きを目の前で見ているかのよう。

そして心温まるハッピーエンドがとても好きだ。

そして、史実に基づいたものとなっているので、参考資料の数が半端ない🙀🙀🙀

 

こんなふうに、この人たちを結びつけているものは、いったいなんだろう。

それは、たったひとつの、

強固で美しい共通の言葉かもしれない。

三人が共有する言葉ーそれは「芸術」だ。

「芸術」の話をしている最中の三人は、

目を輝かせ、身振り手振りも大きくなって、

とても楽しそうに、また生き生きとして見える。

ぶつかり合いも、反発もない。

 

芸術について論じているときの三人には、

響き合う音が流れ、ハーモニーが湧き出るようだ。

美しい言葉で編まれた詩のような、

心豊かな音楽のような、

やさしい絵の具の色合いのような。

言葉、表現が芸術的で感動。

最後の方は涙がポロポロと。

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